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水戸地方裁判所 昭和61年(わ)209号 判決

本籍

水戸市緑町三丁目七番

住居

同市同町三丁目七番一〇号

会社役員

横田勝男

昭和一八年八月一五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官杉山茂久出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年二月及び罰金二、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、水戸市城南二丁目八番一三号水戸ゴールデンハイツ八〇一号室に事務所を設け、貸金業及びいわゆるゲーム喫茶店等の経営をしていたものであるが、所得税を免れようと企て、売上の一部除外などの方法により所得を隠匿した上

第一  昭和五八年三月一四日、同市北見町一番一七号所在の水戸税務署において、同税務署長に対し、昭和五七年度分の実際所得金額が七、六五七万六、五五三円であったにもかかわらず、その所得金額が二一九万円で、これに対する所得税額が七万六、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年度分の正規の所得税額四、二二一万五、九〇〇円との差額四、二一三万九、一〇〇円を免れ

第二  昭和五九年三月一五日、前記水戸税務署において、同税務署長に対し、昭和五八年度分の実際所得金額が四、六六四万八、二三七円であったにもかかわらず、その所得金額が三四七万円で、これに対する所得税額が一二万六、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年度分の正規の所得税額二、一八〇万八、九〇〇円との差額二、一六八万二、〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書五通(三月一三日付を除く。)

一  芽根富子、芽根誠司及び西川操の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  水戸税務署長作成の昭和六〇年四月一〇日付証明書

一  検察事務官作成の電話聴取書

一  大蔵事務官作成の売上調査書、貸付調査書、租税公課調査書、水道高熱費調査書、旅費交通費調査書、通信費調査書、公告宣伝費調査書、接待交際費調査書、損害保険料調査書、修繕費調査書、消耗品費調査書、原価償却費調査書、給料賃金調査書、利子割引料調査書、地代家賃調査書、貸倒金調査書、利益分配金調査書、除却損調査書、雑費調査書及び給与所得調査書

判示第一の事実について

一  大高孝道の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官作成の修正損益計算書(前綴り)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(前綴り)

判示第二の事実について

一  菅谷英夫、芽根博子(二通)、西野次夫(二通)、石井武志(昭和六〇年一〇月四日付)、外岡孝夫(二通)、高瀬裕、井桝光信及び鴫原三男の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の仕入調査書、期末たな卸高調査書、歯科経費調査書、利子所得調査書、雑所得調査書及び譲渡所得調査書

一  大蔵事務官作成の修正損益計算書(後綴り)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(後綴り)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はそれぞれ所得税法二三八条一項に該当するが、情状によりそれぞれ同条二項を適用し、各所定刑中それぞれ懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により判示各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年二月及び罰金二、〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

昭和六一年六月一一日

(裁判官 川島利夫)

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